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帯広畜産大学名誉教授 環境生科学 中野益男 氏
モールの奇跡
十勝川温泉付近の一般的地層は、火山灰土の下部に古代の植物が堆積した泥炭層(200~300m)があり、その下に亜炭層(数百m)、さらに岩盤層へと続いています。泥炭層はおよそ300万~1500万年前の針葉樹、潅木、葦、藻類などが堆積物した地層で、太古の植物が未分解のまま有機物としてその成分が長く保存されています。十勝川温泉の最大の特徴であるモール泉質は、地中深くにある岩盤層が地球の地殻運動で摩擦熱を帯び、その熱で温められた地下水が泥炭層の有機物質と出会うことで、つるつるしっとりとしたモール温泉に変化するのだと考えられています。十勝川温泉の琥珀の湯は、まさに数百万年も歳月を越え現代に湧き出した古代の贈り物なのです。
ミネラルの奇跡
十勝川温泉付近には、国内では稀な花崗岩の礫層が見られます。花崗岩はナトリウム、カリウム、鉄、マグネシウムなどのミネラル、その他の微量元素を含み、このミネラルが溶け出している温泉は、良い薬効を持った温泉とされています。十勝川温泉はモールの有機物質に加え、この花崗岩のミネラルを大量に含んでいる温泉なのです。他地域にも花崗岩ミネラルを含む温泉はありますが、十勝川温泉ほど豊富な例は稀で、これは十勝川温泉が日本では少ない非火山性温泉であることが関係していると考えられています。このミネラルがモール温泉に含まれる有機と結びつくと、有機ミネラルという物質に変化し、皮膚の細胞に浸透しやすくなります。この有機ミネラルの正体はフミンという物質で、細胞再生を促し若返らさせ、まさに美人の湯の証となる成分です。十勝川温泉はこのフミン物質が著しく豊富な温泉で、世界でも稀な植物性泉質と花崗岩ミネラル成分が偶然にも合わさり初めて生まれる、奇跡の温泉と呼ぶに値する温泉なのです。




